床材のお話 その1 ~カーペット~

マンションは管理規約によってリフォームする際に使用できる床材が決められています。
集合住宅という性質上、生活音が階下のお宅に極力響かないようにしなければならないからです。

というわけで、床材のお話を。
まずはカーペット。

え、床材と言ったらフローリングじゃないの?と思われるかもしれませんが、
築年数の古いマンションでは、騒音トラブル防止の観点から、今もフローリングはダメで、カーペット敷き込みしか許可されないところがあるのですよ・・・。

でも、カーペットだって、メリットがあるんです。
★保温・保冷性:保温性・保冷性に優れており、省エネに貢献。
★耐久性:リビングなど人が集まる場所にも、汚れにくい素材なら安心。
★防音・吸音性:音が反射せず、騒音減少効果あり。子供のいるご家庭も比較的安心。
★耐火性:ほとんどすべてが防炎認定商品。
★安全性:フローリングやタイルなどに比べ、滑る心配がない。ヒトだけでなく、ペットの足腰にも優しい。
★装飾性:豊富なデザイン・バリエーションで選択の幅が広く表情も変えやすい。
★歩行性:適度な弾力性は脚の負担を和らげます。
★経済性:お手入れしやすく、機能性が多い。他の床材に比べて張替えの際のハードルは低く材料として経済的。

・・素材について・・
繊維は「天然繊維」と「合成繊維」の2つに分かれます。

◆天然繊維「ウール」
価格は高めですが、染色性も高く微妙な色彩効果があり、天然繊維特有の色つやと肌触りのよさが味わえます。
防虫加工をを施したものを選ぶと安心です。
 

【ウールのよさ】
弾力性が良い:天然のクリンプ(縮れ)により、優れた回復力があるためパイルのへたりが少なく弾力性が持続します。
汚れにくい:ウールは表面が皮脂で覆われており汚れから守ってくれます。
静電気も起きにくいので汚れにくく、クリーニング(カーペットシャンプー)することでさっぱりします。
優れた保温性:天然のクリンプ(縮れ)が空気を含むことで保温性が高く、湿気も吸収するため室内を涼やかにします。
抜群の吸放湿性:ウールの表面を顕微鏡で見ると、表皮が「スケール」と呼ばれるウロコのようになっています。これにより羊毛は自然のエアコンディションが行え、吸放湿性に優れており、日本の高温多湿の風土に合った素材と言えます。また静電気が起きにくく、掃除機も快適に操作できます。
空気清浄機能:ホルムアルデヒドなどの室内の有害物質を吸着し閉じ込め、再放出しません。
遊び毛:ウールは短繊維のため遊び毛が出ます。遊び毛は汚れも一緒に除去するという利点もあり、ブラッシングや掃除機で汚れが取れるのはそのためです。
難燃性:ウールは他の繊維に比べて燃えにくく(燃え広がらずに消える難燃性)合成繊維より煙の量が少ないです。

◆合成繊維
「BCFナイロン」
優れた弾性回復力でクッション性を持続させ、パイルのへたりも起きにくいため、人の出入りが頻繁な場所に適し、家具の跡がついても回復力があります。耐摩耗性が高いので擦り切れにも強く子供部屋などに最適です。
長繊維で遊び毛が少なく抜け毛や毛玉が出ません。お掃除ラクラク、ホコリが発生しにくいのでぜんそくやアレルギー体質の方にも安心です。
また、水分吸水性が低く、ウールと比較しても3分の1程度。乾きも早いので水などをこぼしてもサッと拭きとればOK。
乾燥している時期にカーペットの上を歩くと、摩擦で体内に静電気が蓄積され、ドアに触れた時、指にビリっときたり、掃除機をかけていてパチパチすることがあります。このような現象を防ぐため、導電性繊維を混入するなどの静電加工を施してあります。

「アクリル」
日本ではもっとも多く使用される合成繊維で、ふっくらとして柔らかく、弾性や保温性の良さはウールに近いです。染色鮮明度が高く、テクスチャーの表面にキラキラした光沢があるものが多いのが特徴です。価格も安価。
火や熱に弱いため難燃加工処理をしたアクリルカーペットが安心です。

 

・・カーペットのテクスチャーのタイプ・・
大きく「カットタイプ」と「ループタイプ」に分けられます。
パイルとは毛足のことを言いますが、密度や毛足の長さによって風合いが変わりますので、サンプルなどを取り寄せて実際に触ったり踏んだりして確かめることをおすすめします。
【カットタイプ】

毛足の流れが光線の角度で見えます。中には気にする方も。

【ループタイプ】

ループタイプはループの大きさや高低、密度で表情が変わります。糸の色が複数だと微妙な色合いとなり深みが生まれます。

素材もテクスチャーもお好みですが、マンションですと床材としてかなり広い面積に使用する材料になりますので、コストの面ともよく相談して選ぶ必要があります。
フローリングと違って、劣化してきたら将来的に張替えがしやすい素材ですから、お子さんが小さいうちは汚れに強いものを、などライフスタイルに合わせて考えるのもひとつの手ですね。

 

カーペットを敷き込む際は、下地にクッションフエルトを敷きます。
弊社ではハイクッションフエルトを標準施工としております。

左がハイクッション、右が一般のフエルト。
カーペット自体のクッション性もさることながら、下地材によって歩行感が違ってきます。
カーペットを張り替えたお客様からとても喜ばれるのがフカフカの歩行感。
一般品に比べ、へたりにも強いので満足感が長続きします。

 

 

余談ですが、先日とあるアクセサリーショップのショーケースで、このハイクッションフエルトにネックレスなどの商品がディスプレイされているのを見かけました。ひとつひとつの商品の下敷きに使用されていたのです。
様々なカラーのフエルトのチップを圧縮した素材は、見ようによっては確かにアートな感覚も・・・。
こういう仕事をしているために、アクセサリーより下に敷いてあるものに目が吸い寄せられてしまいましたが、なかなか斬新なディスプレイデザインだな~と思いました。

以上、カーペットのお話でした!

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