ある秋の日

つい先日のこと。
子どもの通学路に自転車で通りかかったとき「イケタニさん?」
と声をかけられました。
長女の同級生K君のおじいちゃんでした。
K君のご両親はたしかお医者さんで、忙しい親御さんに代わって
幼稚園時代からおじいちゃんが保護者会などにもいらしてました。
「あ~どうも、こんにちは!」
おなじみの顔なので、私もご挨拶しました。

「あのねぇ、いまから3年ほど前のことだと思うけど・・・」
おじいちゃんはつかつかと私のほうに来て話し始めました。
「3年生の夏休み明けの保護者会だったかな、
みなさん夏休みにどこへ行ってきた、
こんなたのしい思い出ができたとお話しされたなか、
イケタニさんはお身内が亡くなられたとかで葬儀があって、
娘さんが弔辞を読まれたとおっしゃってましたね。」

・・・私は3年前に父を亡くし、夏に納骨したのでした。
私の母の依頼に応えて弔辞を書いた当時3年生の長女が、涙ながらに読み上げたのです。

「私ね、あの話がいまも忘れられないんです。家の中でも話に出すし、
年寄り仲間にもよく話してます。なかなかできないことだと思うんですよ。
いつかイケタニさんにそのことを伝えたいと思ってました。」

・・・3年前の保護者会で私、そんなこと話したんですか?・・・
思わずおじいちゃんに聞いてしまいました。

「あ、これね・・」
手に持っていた近所のスーパーの袋からおじいちゃんが取り出したのは・・・
焼き芋!
「おつかいでこれ買いにきたんだけど、よかったらもらっていただけませんか?」
そう言いながらふたつも私の手に持たせてくださいました。
「い、いいんですか? ありがとうございます! ごちそうになります!」
K君のおじいちゃんはなんだかほっとした様子で歩いていかれました。

「よかったね! 焼き芋おいしいよ!
私の話もそこそこに、お芋をほおばる娘たちでした。

  
リノベーション・マンションリフォームのマスターアート      リノスタイル社長日記

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