壁の素材の選び方 ③珪藻土、漆喰
壁は床と並んで家の中で大きな面積を占める部分。そこがどんな素材でどんな色柄なのかは、思った以上に私たちに影響を与えています。そこでどんな壁の種類があり、それぞれどんな特徴があるのかをシリーズでご紹介したいと思います!リフォーム、リノベーションの参考にして下さいね。
シリーズ第三回目は珪藻土、漆喰!
メリットは?
一番の特徴は自然素材であるということ。珪藻土は珪藻の殻、漆喰は石灰岩を焼いて水を加えた消石灰(水酸化カルシウム)が原料です。どちらも目に見えない無数の孔が空いているため湿度を調節(湿気が多い季節には吸い、乾燥しているときは放出)してくれたり、匂いやホルムアルデヒド等の化学物質を吸着したり分解してくれるのです。
そして塗り壁ならではの手仕事の表情も魅力。左官職人の技でコテあとを残したり、櫛引き模様を付けることで陰影が出ます。
また時間とともに味わいが増すところ。新建材は施工時が一番美しく、どうしても経年に応じて古びてきます。でも、漆喰はお城や蔵に使われているように息の長い素材(カビや火に対する強さがあります)。時を経てもキズや汚れを含めて味となります。
A様邸では水廻り以外全体に珪藻土を採用されました。
おだやかな色とコテあとで気持ちよく上品な空間に…
M様も以前アレルギーをお持ちだったこともあり全体に珪藻土を。一面のみアクセントとして色を変え、ここだけ櫛引模様にしました。
M様邸では黄土色の珪藻土をお使いに。落ち着く空間です。
左に見える壁一面だけは少し抹茶色の櫛引き模様。
K様邸ではTVラックを置く背面の壁を珪藻土に。間接照明を入れたことで陰影が引き立ちます。
その他の塗り壁
★イタリアン漆喰
M様邸の廊下はイタリアン漆喰と呼ばれる素材。お好きなレストランで使われていたことからM様ご自身が選ばれました。石灰や大理石粉・砂等を原材料としていて、コテで塗り重ねて最後に磨きをかけます。透明感のあるムラとツヤが特徴で絵画のような雰囲気もあります。
★モルタル壁
番外編、モルタルも塗り壁の一種です。調湿機能などはありませんが、部屋の一部に使うとこなれた雰囲気が出る人気の素材です。
デメリットは?
工期が長く、コストが高いことです。塗り物は『湿式工法』といって、材料と水を現場で練っては塗っていきます。乾くまでに時間が必要な上に重ね塗りが必要なので、工期は長くなります。コストもそれに応じて高くなりますが、長い目で見たときにはクロスのように貼替え不要という面もあります。
また、クラックが出ることがあります。塗装と同じく下地処理は丁寧に行いますが、細かなクラックはどうしても発生しますので、その点はご了承の上で採用して頂ければと思います。また素材にもよりますが、珪藻土では冬の寒い時期は濃い色は色むらを起こすことがありますので、淡い色をおすすめしています。
塗り壁は左官職人の技が光る贅沢な壁材。初めにコストはかかりますが、部屋に入った時の気持ち良さと満足感が毎日味わえる素材。結果的にはお得かもしれません!
壁の素材シリーズ、残りは④と⑤です。
③珪藻土、漆喰
と続きますのでお楽しみに!