安心して暮らすためのご提案 ~自分だったらどうするか?~
暮らしが多様化して、都会と田舎の2拠点生活も増えていると聞きます。リモートで仕事が出来るようになったこともあり、家にまでサブスク(定額で色々な土地に住み放題)スタイルがあると聞いた時はびっくりしました。
F様ご夫妻はずいぶん長いこと、神奈川と東京を行き来する生活をしてこられましたが、これからは世田谷のマンションを終の棲家にして行こう、というタイミングでお声掛け頂きました。
メインはキッチンでしたが、ついでに「お風呂の浴槽が高くて不便」という相談を受けました。見せて頂くと、在来工法(昔ながらのタイル張りの工法)でバスタブの高さが60cm弱ほどあり、確かにまたぐのが大変。そこで始めはスノコを敷いて洗い場の高さを上げることで解決できないかを考えました。
それにつけても隅々までお掃除の行き届いているF様邸…。ということは掃除のしやすさも大事なポイントです。
木製のスノコはヌメリがすぐ気になり始めるでしょう。ならばと既製品も考えたのですが、ひとつのユニットが数㎏もあるので毎日の上げ下げが現実的ではない…
ということで、このタイミングでお風呂をユニットバスに交換することをご提案することとなります。ユニットバスを提案した理由がもうひとつ、洗面脱衣室です。F様邸は洗濯機の排水口が洗面室になかったのです。
どうするかと言うと、洗濯のたびに浴室の扉を開けて排水ホースをお風呂に入れるのです。ウッカリものの私ならホースを差し忘れて漏水させてしまいそうで恐ろしい…でも洗面の床をやり直すと配管の関係で洗面台の交換もセットとなります。どんどん範囲が広がってしまいます。
マスターアートではご希望に沿ったリフォームをしていますので、単に「○○年経っているならここもやった方が良いですよ」というような提案はしません(そういえば言ったことないな…と気づきました。出来ないといいましょうか…)。そんな私たちが「ここもリフォームした方が良いです」とお伝えするポイントがあります。
①配管のこと
床下の配管が古いまま内装だけをキレイにした場合、もし漏水があればもう一度壊してやり直さなければなりません。安心して暮らせる要なので、築年数に応じて配管更新のご提案をします。
②工事的にやった方がお客様が得な(損をしない)こと
たとえば洗面とトイレを交換したいと思っているけどトイレは来年でいいわ、という場合。養生、職人の手間、諸経費…別々にやるとコストが二重にかかる部分が多いので一緒の方が良いですよ、とお伝えします。
③お客様の生活がぐっと快適になること
たとえば洗濯物干しのバー、お風呂のお湯を自動で止める水栓など、今の暮らしを拝見して「あったら生活が楽になりそうこと」は、おせっかいながらお伝えしています。
これらはむしろ「言わずにおれない」部分です。また「自分だったらこちらを選ぶだろう(両親の家ならすすめるだろう)」と思える部分です。もちろん最終的にはお客様の判断にお任せします。
今回F様には、スノコ案とともに浴室と洗面室のリフォームもご提案し、後者を快諾して頂きました
工事中
洗面室の床下。恒久性のある配管に変えて安心。
ユニットバスは今までの浴室の中に小さな部屋を組むような感じ。一回り小さくはなりますが、断熱機能がアップして温度差が生じにくい。ヒートショックの心配も減りますね。
AFTER
浴室のまたぎも45cmになり、手前には手すりもつけて出入りが楽になりました。またF様邸は(給湯器の関係で)浴槽の蛇口でお湯をためるスタイル。止め忘れを防ぐため、タイマーのついた「定量止水」の水栓をご提案しました。
洗面化粧台です。収納力がアップ!
ご主人様の「今までのように物が置ける平らな場所も欲しい」を叶えるため、片方のカウンターが延びています。造作棚もつけたのでティッシュなどもお手元に。
さて洗濯機置き場は…この通り、洗濯機パンがつきました。これからは排水ホースを触らずにそのままスイッチオンして頂けます!
今までは洗面室との間にこんな↓またぎがありましたが…
バリアフリーも叶いました。床から全部やりなおすリノベーションと違い、リフォームの場合どうしても段差が出来てしまう場合もあるのですが…(施工してみないと分からない部分もあります)。お手入れも簡単、安心です。
以上、F様邸の浴室リフォームでした。
ご夫婦ともに本当に若々しいF様ですが、両親と同年代ですので「これから先の生活が安全で快適であること」は大切にしたい部分でした。こちらで始まる生活で、毎日快適だな、あの時にやってしまって良かったな…と感じて頂けたら嬉しいです。
F様邸ではキッチンも交換させて頂きましたので、それはまた別の記事にしたいと思います!