新たな絆を育む場所

このたびの台風19号による被害を受けられた方々には心よりお見舞い申し上げます。
三連休に合わせるかのように列島にぶつかってきた巨大台風。
上陸することはわかっていたけれど、身近な川があそこまで氾濫したり、堤防が決壊するなんて・・・
自然災害の恐ろしさを改めて思い知らされました。
いま自分にできることをよくよく考えて、視野が狭くならないように行動していきたいと思います。

最近、弊社にご相談いただいているお客様は、これから住まいをご購入されてリフォーム・リノベをしたいというご要望をお持ちの方、あるいは賃貸オーナー様からお手持ちの物件の再生依頼が多くなってきています。

どちらのパターンであっても、現地を見させていただくと、住まい手がいなくなってしばらく経つ、いわゆる空き家/空室なわけで、まさにその瞬間が、生活の残り香がするような住空間との最初の対面の場面になります。
前の住民の方が、ここでどんなふうに暮らしていたか・・・
部屋のそこかしこから漂ってくる「気」のようなものを感じ取る時間です。
この春社会人になって一人暮らしを始めた娘の賃貸物件を数々内見したときも、部屋ごとの「印象」はずいぶん違うものでした。
「印象」が良い物件、良い部屋というのは、そこで生活を始める住まい手の姿がすぐに像を結ぶと言いますか、
空間がこちらに、なにかしら訴えてくるものがあると感じます。

もの言わぬ空間。
もの言わぬ住まい。

そこに住もうとしている新たなオーナーの思いはもちろん汲んでさしあげたいですが、
空間からの無言の発信をキャッチしたい。
人の手で創られたものだから、人に訴えてくるのでしょう。
住空間は、人を包んでいるもの。
包まれて、使いながら、触れあいながら、共に時間を過ごしてゆくもの。
時間の共有という、かけがえのない絆が人と住空間のあいだにはあるのだと思います。
ただ表面的に再生するのではなく、ちょっぴりそんなスピなことも意識してひとつひとつの案件に臨みたいです。


(写真は本文とは関係ありません。自由学園明日館)

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