写真と写真家と写真集
先週末ナガサキが「これ感動したんで見てください」と紹介してきたのがこちら
『復興の狼煙』
ポスタープロジェクトですね。
まっすぐカメラを見つめる被災地の方々、
そしてそのうしろに写る故郷の地。
写真に添えられた言葉とあいまって
見る人の心に迫ります。
これらの写真を見てふと思い出したのが
写真家 橋口譲二さんの『十七歳の地図』。
橋口氏の奥様が前の職場に一時在籍されていたことがあり、
ご本人には直接お目にかかったことはありませんが、
奥様から人となりを伺って、勝手に親しみを持っていました。
写真っていいですよね・・・
ポートレートにはとくに惹かれます。
美大生だった頃、たくさん写真展に行きました。
その都度作品集を購入(カタログは市販の写真集より断然お買い得!)、
いまも大切にしています。
エルンスト・ハース、ブラッサイ、サラ・ムーン・・・
1990年前後、プランタン銀座の催事場、エスパースプランタンでは、
好みの写真家の展覧会をよくやっていました。
当時から私がことさら大切にしている一冊は、1989年春に東京都庭園美術館で開催されたヘルムート・ニュートンの写真展の作品集。
著名人の姿が数多く収められている前半と、VOGUEなどのファッション誌のために
モデルを撮ったアーティスティックな作品が目白押しの後半・・・
どのページをめくっても、被写体の本質を透視したかのような写真にインスピレーションがわき、何年経って見ても、グイグイ画面に引き込まれていく感覚を覚えます。
ポートレート系以外で持っているのはコチラ
南国のパラダイスを撮れば右に出る者はいないほど当時大活躍の三好和義氏の
『RAKUEN』
大学の友人からのプレゼントです。
銀座の富士フォトサロンに三好さんの展覧会を見に行ったとき、
となりのスペースで個展を開催していたのが右の『PUKAPUKA』を生んだ
細川和良氏(いま思えば、ジャンルも名前もめっちゃかぶってるやん!!)。
コマーシャリズムにおかされていない、でも写真家の個性が光っている、海の、魚の
写真作品にKOされた私は、たまたまその場にいらした細川氏に思わず声をかけたのでした。
大きな布地にプリントされたタペストリーのような作品が幻想的で、めずらしさもあってキラ眼になっていた私に、控えめな物腰で丁寧に作品を解説してくれた細川氏。
それだけでは飽き足らず、帰宅後、人生初のファンレターを書いた若き日の私!
そして奇跡は起こりました。
しばらくして、細川さんからお礼の手紙とともに書籍サイズほどの写真プリントが1枚・・・
私がいちばん印象的だったと伝えた空飛ぶクジラの写真でした。
しかもサイン入りの台紙に・・・
今も額装して大事に部屋に飾ってあります。
細川さん、本当にうれしかったです。ありがとうございました!
津波にのまれて失われた家財の中でも、アルバムや写真は特別なものですね。
瓦礫の中から細心の注意で拾われて、被災者自ら、またはボランティアの手で丁寧に汚れを取りのぞき、一枚でも多く家族のもとへ戻ってほしいと、大切に大切に集められている様子を見ると、一瞬を切り取った写真というものの存在がとてつもなく大きく思えます。
先日は海底から被写体である少女のもとへ戻ってきたという写真のエピソードもありました。
写真にまつわる思いは、ひとの数だけ存在しますね。
戻ってきた写真も、戻らなかった写真も、
きっと持ち主をそっと見守りつづけ、支えつづけてくれると信じます。
Yuka.I