フローリング材の板幅は昔に比べて広くなりました・・・それはなぜ?
かつて木の床、つまりフローリングは、見た目の板の幅がだいたい90mm前後のものが主流でした。
現代に比べると細く、溝がたくさんありました。
現代は、板の幅が150mm前後のものが主流になっています。
なぜ、そのような変化が現れてきたのでしょうか。
① 幅広フローリングが主流になっている理由
画像は朝日ウッドテックさんからお借りしています
1. 空間を広く・上質に見せるため
幅の広い板は継ぎ目が少なく、すっきりした印象を与えます。
同じ部屋でも「面が広く見える」ため、高級感・開放感が生まれます。
特にマンションのように限られた広さの空間では「視覚的な広がり」が重要視されるようになりました。
2. ナチュラル・北欧・モダンスタイルの流行
2000年代以降、北欧デザイン・無印良品・自然素材インテリアの影響で「木の質感を活かす」空間づくりが主流に。幅広板は木目の表情がしっかり見えるため、素材感を重視したデザインに適しています。
3. 技術の進歩により反り・割れの問題が減った
昔は「広幅=反りやすい」とされていましたが、近年は複合フローリング(合板+突き板)や特殊UV塗装の普及により安定性が向上。
幅広でもメンテナンスしやすくなったことで、設計側も安心して採用できるようになりました。
4. インテリアの“面構成化”の流れ
現代の内装デザインは、家具や建具、壁面などを「面」として統一的に見せる傾向があります。
その流れの中で、細い板よりも“面の美しさ”を重視する幅広板が好まれるようになりました。
② フローリングの人気の変遷(時代別の流れ)
*時代 主な傾向 材質・デザインの特徴*
◆1970〜80年代 新建材の普及期 ナラやブナなどの「細幅無垢フローリング(60〜75mm)」が主流。和室中心の間取りから洋室化が進む。
◆1990年代 量産マンション時代 合板+薄い突き板のフローリングが一般的に。量産性・価格重視で、ややチープな質感が多い。
◆2000年代前半 デザイン住宅・自然素材ブーム 「無垢材回帰」が始まり、オーク(ナラ)・チェリー・メープルなどが人気。幅90〜120mmが増加。
◆2010年代 北欧&ナチュラルモダンの流行 「広幅材(120〜150mm)」が主流化。節あり・オイル仕上げの自然系が好まれる。
◆2020年代以降 シンプル・ホテルライク・上質志向 180〜200mm超のワイド幅フローリングが人気。色味はグレイッシュトーンや淡色オーク系が中心。根強い人気のモノトーン住宅に映える。
現代のトレンド(2020〜2025年頃)
材質:オーク・ウォールナット・アッシュが定番に。
色味:ナチュラル、ホワイトオーク、グレージュなど淡色が人気。
仕上げ:ツヤを抑えたマット塗装、または自然オイル仕上げ。
幅:150mm〜200mmクラスが増加。
室内のベースの色をどうするかで、空間の印象は変わります。
リノベーションでは、室内がすべて再構築されるため、広い面積を占める床の色に合わせて、ドア類の色を決めることができますが、既存のドアを残すリフォームの場合は、ドアの色とのマッチングを考慮したいところです。
また、床と壁の間にある「巾木」の色も、床に合わせるのか、壁に合わせるのかによって見え方が違います。
板の幅がゆったりしていると、日本人はなにか悠久を感じてくつろげるのかもしれないですね!
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