ワンルーム19戸の社員寮から一般向け賃貸住宅にリノベーション
長年金融企業の社員寮だった築後30年近い建物。
内装や設備の老朽化・陳腐化に伴い、その機能も十分に果たせなくなっていました。
入寮者も最後のひとりまで減り、企業様との契約更新時期を迎えるのを機に、ワンルーム19戸を一般向け賃貸物件へ転換することを決断されたオーナー様。
これまでと同様、社員寮としての使途で新たな企業と契約ができたら・・というお気持ちもあったのですが、寮として求められるボリュームが50戸程度であるのに対し、19戸という部屋数から、一般募集を前提とした賃貸住宅を目指すことになりました。
オーナー様のご意向としては、各部屋内部と建物の外装・エントランス部分をリニューアルして、今後10~20年賃借人が入居できるようにしたいとのことでした。
エリアの賃貸マーケット動向としては、沿線に有名大学があることや、ターミナル駅へのアクセスの良さなどから、ファミリータイプよりワンルーム・1DKの単身者向け世帯を対象にした物件が多く、新築・築浅物件も増加傾向にあり、賃貸市場の競争は激化していました。
マスターアートがオーナー様からこのようなご依頼をいただいたときは、こうしたリサーチをしてからご提案プランの作成に取り掛かります。
お部屋内部の現状は、設備の老朽化、時代に合わない内装など、そのまま市場に出すには手を入れる必要がありました。
Beforeはこんな雰囲気。
床はビニル系のクッションフロアシートで全体的に白っぽい室内は薄汚れ黄ばんだ印象です。
(当時は室内での喫煙が認められていたのでしょうか・・・)
水廻りもトイレ・洗面・お風呂が一室のこのような狭い3点ユニット。
せめてバストイレ別と謳えるように独立したトイレにしたいところ。
また、寮だった頃、入寮者は数台の共同洗濯機が置かれた共用廊下のランドリーコーナーで洗濯をしていたため、室内洗濯機置き場の新設も必須でした。
近年の賃貸物件には標準仕様の暖房乾燥換気扇も設置し、アクセントカラーを配したバスルームに変更です。
トイレを別にしたら広さも十分に。これならゆっくり入浴できますね。
ミニキッチンは足元がすっきりしたステンレス製をセレクト。
ゴミ箱なども置きやすいです。
味気なかった内装もそれぞれの部屋に異なるアクセントクロスを貼って特色を出し、床材も気持ちの良いフローリングに変更。
(1階は無垢フローリング、2階は防音フローリング)
内見に来た人が、ワンルームながらも思わず住んでみたくなるような個性を感じてもらえるように、そして近隣物件との差別化を図りました。
各部屋とも、設備の基本スペックを整備したことで、通勤通学をする若い単身者が快適な生活を送ることができます。
暖房乾燥機付きユニットバス
洗浄便座付きトイレ
室内洗濯機置き場
IHコンロ付きステンレス製ミニキッチン
クローゼット、シューズボックス
その他にもライティングレールにスポットライトを複数付けて、20㎡弱のワンルームで制限されやすい家具の配置に対応できるような工夫をしています。
元食堂は、ワンルームでも唯一2人で住める広さ。
食堂+厨房という空間だったため浴室がなかったので、洗面脱衣室とともに新たに設置しました。
容量の大きいウォークインクローゼットを設け収納力を高めています。
シンプルな対面型キッチンが開放的な心地いい空間に。
他と違うイレギュラーな部屋も、共働きの若いカップルを想定してプランし、需要に応えます。
建物の第一印象を決めるエントランスも併せてリニューアルしました。
中身が魅力的でも、住む人が気分よく帰ってこられるような外観でないと、室内の魅力も半減するものですよね。
道路面から緩やかな勾配で下がるアプローチには両サイドに格子を設け、夜間はライトアップして安心と表情をプラス。門扉にはもちろん、オートロック機能が。
そして、小規模アパートにも今や標準となっている宅配ボックスも設置しました。
完成後の募集では晴れて満室御礼!!
建物の価値再生が叶ったこと、賃料もアップしたことで、オーナー様にもご満足いただくことができました。
元食堂&厨房
Before
After
代表的な間取りのお部屋
Before
After
【データ】
新宿区
鉄筋コンクリート地下1階地上4階建(3,4階はオーナー様住居)
築26年(リノベーション当時)
工期 約3.5ヶ月