マスターアートではリノベーション工事の際に「配管更新」を盛り込むことがほとんどです。キッチンやユニットバスなどの交換や内装工事と違い、「本当に必要な工事なの?」「見えないところは手を抜けるのでは?」「やらなかったらどんな不具合が起こるの?」など、いろいろな疑問が湧くのではないでしょうか。

もし配管更新を行わないままでキッチン、ユニットバス、洗面台、トイレを交換して内装を新しくすれば、新築のような見栄えになり、コストはそちらの方が当然安くなります。
でも実際は、住む上での安心感や資産価値に大きな差があるのです。

そこで、なぜ私たちが大切なご予算の一部を使わせていただいて配管更新をおすすめするのか、もし行わない場合にはどんなリスクがあるのかなど、「配管更新」の重要性についてお伝えしたいと思います。

配管更新における「配管」とは?

住まいの中には部屋を見渡しても見えない様々な「管」が使われていますが、どこにどんな管が隠れているのでしょうか。

床下

床下配管キッチンやお風呂、トイレなど水廻りの床下には給水・給湯管が敷設されています。お湯は給湯器から供給されますから、バルコニーや玄関先にある給湯器まで管がつながっています。つまり水廻りではない廊下やリビングの下にも給水管や給湯管が走っているということになります。
もうひとつの大事な管が排水管。キッチンや浴室から出た排水をパイプスペース内などにある共有の排水本管へ導いています。

壁の配管キッチンや洗面台などの設備は、キャビネット内から配管へのつなぎ位置が「床」の場合と「壁」の場合があります。設置条件により「壁」を選んだ場合は壁の中を給水・給湯管が通っています。

また最近はエアコン設置のため壁内に先行配管を施すことがあります。築古のマンションではエアコン室外機を設置するスペースがない部屋も多いのです。
その場合は、たとえば北側の個室から南側のバルコニーまで、前もって冷媒用の配管を通しておくことでエアコン設置が可能になります。エアコンからはドレン水と呼ばれる水が出ますので、それも壁内を使って付近の排水管まで導いています。

天井

天井裏の配管天井内にある管には「排気ダクト」があります。キッチンや浴室の換気扇から出た排気を外部に排出するため、天井裏にφ10㎝~15㎝ほどの管が通っています。こちらも排水と同じくパイプスペース内、もしくは玄関やバルコニー側の外気面まで管がつながっています。

まれに築50年以上の古いマンションで、上の階の排水管が階下のお宅の天井裏を通っている場合があります。その配管を更新するには階下のお宅の天井裏を壊して行う必要があり、とてもハードルが高いです。そのためこういったマンションでは、リノベーションのタイミングで階上のお宅の分の配管を更新するよう、管理組合からお達しがある場合があります。

また築浅の物件でも、床下ではなく天井裏を給水・給湯管が通っていることがあります。ガスを使った床暖房、浴室乾燥換気扇を使っているマンションに多い形です。


この他にもガス管や電気のケーブルを通す管など、住まいには見えない部分に様々な管が通っています。その中でもリノベーション時の「配管更新」とは主に給水・給湯、排水管の更新を指しています。

共有部と専有部について

マンションでは所有者が工事をすることができる「専有部」と、マンションの持ち物として扱われる「共有部」があります。では配管を更新する場合に所有者の方が工事できる範囲はどこでしょうか?
配管における線引きは区分所有法と各マンションの管理規約で決まりますが、一般的には

共有部…「縦管やメーターまでの配管」「スラブに埋設されている配管」「パイプスペース内の縦管」
専有部…「各住戸メーター以降の住戸内配管」

となっています。
つまり、住戸の床下(スラブ上)や天井裏の配管、パイプスペースから各住戸の中へ「枝分かれ」して入ってくる部分の配管、住戸内のキッチン・洗面・浴室などまでの配管一式が所有者の持ち分となります。

マンションの築年数別 使われている配管の傾向

リノベーションするからといって、すべてのお宅で配管更新が必要になるわけではありません。
築浅のマンションではすでに恒久性のある素材が使われていることも多いため、事前に既存管の素材を確認して更新の必要があるかどうかを判断しています。ここではマンションの築年数別にどんな管が使われていたのか、また更新の必要がある材は何かについて説明します。

築20年程度のマンション 給水管:架橋ポリエチレン管
給湯管:架橋ポリエチレン管
排水管:塩ビ管
築30年程度のマンション 給水管:塩ビライニング鋼管
給湯管:銅管、塩ビライニング鋼管
排水管:塩ビ管、塩ビライニング鋼管
築40年超えのマンション 給水管:塩ビライニング鋼管
給湯管:銅管
排水管:鋳鉄管、塩ビ管

マスターアートが入らせて頂くマンションでは、経験上このような材が使われています。

各配管の特徴と配管更新が必要な理由

それぞれの管の特徴は下記のようになります。

架橋ポリエチレン管 ポリエチレン分子同士を部分的に結合させて耐熱性・耐久性を高めた給水・給湯用などの樹脂配管。軽量・柔軟・耐食性が高く、住宅の給水・給湯配管を中心に広く使われている管材です。
塩ビ管 塩化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル:PVC)を材料とした配管用の樹脂管で、水道・排水・電線保護管などに広く使われる軽量で耐食性に優れたパイプです。
塩ビライニング鋼管 鋼管の内面に硬質塩化ビニル(塩ビ)管を密着させて防食性を高めた配管材で、鋼管の強度と塩ビの耐食性・衛生性を併せ持っています。
銅管 熱伝導率が高く、給湯器内で効率よく水をお湯に変えられるため、給湯管として多く使われてきました。しかし経年劣化により銅が酸化し、緑青(銅のサビ)が発生しやすい特徴があります。
鋳鉄管 材料にねずみ鋳鉄を使用した配管です。銅管に比べてさびにくく腐食に強いため、水道管や排水管に使用されてきましたが、内面は錆びやすい特性があります。

私たちが「配管更新をおすすめした方がいいな」と思う素材は、赤い文字で書いた塩ビライニング鋼管、銅管、鋳鉄管です。塩ビライニング鋼管は管の内面は塩ビで覆われていますが、ジョイント(継手)の部分は無防食の場合があります。そのため交換をおすすめしています。

銅管と鋳鉄管は経年劣化でサビが発生し内部のつまりの原因となり、銅管については局部的な腐食で「ピンホール」と呼ばれる小さな穴が開き、水漏れの原因となる場合があります。
配管の錆これらの配管は人間の体で例えるなら「血管」とも言うべきとても大事な部分です。私たちの体も血管がつまると病気の原因になるように、住まいの配管も放置すると危険なのです。

配管更新が必要なマンションの築年数と注意点は?

築20年ほどのマンションでは配管についての心配はあまりありません。架橋ポリエチレン管や塩ビ管は現在でも使われている恒久性の高い素材だからです。
それに対し40年以上のマンションで一度も手を入れていない場合には、配管更新を考えます。
一方で確認が必要なのが築30年前後のマンションです。もし給湯管に銅管が使われていると分かった場合は更新をおすすめしています。

また今までリフォームをされているかどうかも判断に関わってきます。建築当初からずっと同じ方が住んでいる場合や、中古物件を購入してリフォームしてから入居された場合は今までのリフォームの履歴を伺うことができます。
難しいのはリノベーション済み物件を買い取り再販業者から購入された場合です。
一見きれいに内装が施されてキッチンやユニットバスが新しい状態で販売されていても、床下の配管を新しくしてあるかどうかは分からないからです。

もしも配管更新をしないリノベーションをしてあり、暮らしてから床下に不具合が出てしまったら…部屋内がどんなにきれいに仕上がっていても、設備を解体しフローリングをはがして床下の工事をしなければなりません。

使われている配管を確認する方法

そこで私たちは様々な方法で、使われている配管を確認します。
基本的には現場調査に伺った時に既存のキッチンや洗面台の中を開けて、配管とのつなぎ部分を確認します。築40年以上のマンションに20年前の設備が使われていれば「途中で一度リフォームされているな、そのタイミングで配管更新をしているかもしれないな」などの推測ができます。

その他にもメーターボックス内や床下点検口があれば開けさせていただき、なるべく多くのヒントを集めます。場合によっては建築当初の図面を見せて頂きます。

建築図面を確認するにはマンションにより手続きが変わります。管理人さんが常駐されているようなマンションでは窓口で直接お声がけして図面を閲覧させて頂きます。住人の方のお口添えが必要な場合もあり、ケースバイケースです。

更新をしないと起こりえるリスクは?

ではもしも更新をしなかった場合はどのようなリスクが考えられるでしょうか?

リスク1:漏水トラブルと法的・経済的責任
マンションにおけるトラブルのトップは「水漏れ」です。
配管が腐食して穴が開く「ピンホール現象」が発生すると、階下への漏水となります。その原因箇所が「専有部」であれば、その責任と費用は所有者が負うことになります。階下の復旧工事や家財への保証のほか、ご自宅のリフォームも必要になります。加入している保険でまかなえる場合もありますが、煩雑な手続きが発生してしまいます。

リスク2:健康への影響(赤水・細菌)
錆びた給水管を通った水には、鉄錆が含まれます。
また、配管内部の凹凸に細菌が繁殖するリスクもあります。毎日使う料理の水、お風呂の水が「どのような経路を通ってきているか」は、住まう人の健康に直結します。

リスク3:資産価値の低下
最近では中古マンション市場で「リノベーション済み物件」が人気ですが、購入者は「配管が更新されているか」を厳しくチェックします。
配管が古いままの物件は、将来売却しようとした際に「隠れた負債」と見なされ評価額が下がる要因となります。

リノベーションのタイミングで配管更新をおすすめする理由

リノベーション前のスケルトンの状態配管更新の重要性はお分かりいただけたかと思いますが、なぜリノベーションのタイミングで配管更新をするべきなのでしょうか?配管更新を行うことで得られるメリットについてご紹介します。

安全性がアップする

先述したように配管は水廻りだけでなく廊下やリビングの下にも及んでいます。そのため本当に安心な状態にするためには床下全体を工事する必要があります。水廻りだけの部分的なリフォーム工事では開けられる床下の範囲が小さいため、継ぎ足しの配管工事になってしまいます。
いったん住まいを空にして工事を行うリノベーションだからこそ、配管をすべて更新でき安心につながります。

コストを削減できる

全てを解体してスケルトンの状態から工事をスタートするリノベーションであれば、古い配管をまたぐ・迂回させることなく、最短ルートで施工をすることができます。
また最初にトイレ、その後にユニットバス、さらに数年後にキッチンを…と部分ごとにリフォームを行う場合はお住まいになりながらの工事になります。既存部分を残しながらの工事は手間と時間がかかりますし、工事のつど養生や手数料もかかるためコスト面でムダが多くなってしまいます。

間取り変更の自由度が増す

たとえばキッチンを壁向きから対面キッチンにしたい時。排水の勾配が確保できるかが要になりますが、古い配管が残っていてはそのルートが確保できません。古い配管の位置にとらわれず自由な設計が叶うのはリノベーションのタイミングならでは。

段差の解消(バリアフリー化)が叶う

部分リフォームを重ねた結果、あちこちに段差ができてしまっているお宅を拝見することがあります。これはコストを抑えるために既存の床を壊さずに工事を行ったり、部分的な工事のため配管を上下に交差させてしまったことなどが原因として考えられます。
リノベーションのタイミングであれば段差がない形で設計することが出来ますし、マンションの構造上どうしても段差ができてしまう場合はスロープを併用するなどして安全な空間を構築できます。

マスターアートで行う配管更新

私たちがリノベーションで使用しているのが架橋ポリエチレン管、塩ビ管です。工事の順番としては、解体工事後のスケルトンになった状態で「墨出し」を行います。墨出しとは、設計図通りに、現場の床に実際の壁の位置を描いていく工程です。

墨出しその線をガイドにして設備屋が配管を敷設していきます。キッチンやユニットバスなど、使うものによって配管を出すべき位置が決まっているので、承認図とよばれる図面で確認しながら行います。

マンション配管それと平行して大工が壁や床の下地を組んでいきます。こちらは二重床工法といって、スラブから10㎝~床が上がり、床下に出来る空間に配管を通す工法です。

床下の配管こちらは直貼り工法といってスラブに直接フローリング(裏に遮音のクッションがついたもの)を貼る工法で、築30年ほどのマンションに多いイメージです。この場合は床下に配管を通せないため水廻りのスラブが10㎝ほど掘り下げてあり、そこを配管が通っています。
もう一つの方法としては、水廻りの床を上げることで配管を通している場合もあります。廊下とトイレや洗面室の入口で数センチ~10センチほどの段差ができます。

直貼り床の配管こちらは配管を通す道筋部分があらかじめ掘り込まれているマンション。独特な形ですが、マスターアートはこちらで100件以上も工事をさせて頂いており、構造を熟知しているマンションです。

ハイムの配管いずれのパターンでも工事後には見えなくなる場所です。

床下地の張替え完了そのためマスターアートでは工事中に配管の様子を写真で記録しておき、竣工後にお渡ししています。

安心して暮らすために

配管が古いままに設備や内装をきれいに仕上げてしまった住まいは、どんなに見た目が素敵でも安心して暮らすことができません。いい住まいは見えない部分にこそきちんとした施工がされているもの。

またコストは家づくりにおいてとても大事な要素です。
マスターアートは安さで勝負する会社ではありませんが、コストのバランスを大切にしています。
コストパフォーマンスのいい設備をご提案したり、動線や収納の工夫で暮らしやすさを向上させたり。内装の組み合わせでお好きなテイストに近づけたり、高級感を出したり…とできることはたくさんあります。
配管更新などの必要な工事を盛り込んだ上で、トータルで見た時に満足していただける住まいを目指しています。

本当の安心は見えないところにあります。
この先10年、20年、30年と、不安を感じることなく穏やかに暮らせる住まいを一緒に創り上げていきましょう。

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